稲粒神社本殿

創祀は寛政十一年(一七九九)。

御祭神は保食神。

創建時からある一間社流造の本殿は京都府登録文化財に指定されてゐる。兵庫県の三木市や柏原(現丹波市)の大工・彫物細工師などが中心になつて作つたといふ。鎮守の森は京都府環境保全地区に指定されてゐる。

水無月神社・北野荒神社など境内社・摂社多数。


稲粒神社全景

■探訪記

由良川の北岸、川北の水田の中に鎮座します。面白い社号です。市の中心部からそれほど離れてゐないところですが、典型的な農村部の神社で、なかなか立派な神社です。前に水路を兼ねた小川があり、参宮橋といふ石橋がかかつてゐます。由良川対岸の前田の明天神社と交互渡御(西暦偶数年は前田から、奇数年は川北から)の慣はしがあり、両神社が一緒に神事を行なひます。

H25.5.29記

土師天満宮本殿

創祀は不詳。

御祭神は菅原道真公。

御神体は菅公所持の観音像といふ伝承がある。摂末社に稲荷・八幡・三柱・熊野・神明など。


土師天満宮全景

■探訪記

土師川の東側、福知山高校のそばの小高い丘に鎮座します。

神事相撲が行なはれてゐたのでせうか、土俵の跡があります。また、落雷の痕でせうか、根元のみが残る燃えた御神木がありましたが、枯れずに若葉が出てきてゐました。

境内左側に孝子芦田爲助の碑と忠魂碑があります。

H25.5.31記

稲荷神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は倉稲魂命。


稲荷神社全景

■探訪記

土師川の西側、福知山成美高校のそばのJR福知山線の線路沿ひに鎮座します。

詳細は不明ですが、鳥居は二連あり、摂社も鎮座してゐて、きちんとお祀りされてゐるやうです。

学校の多いエリアなので、学生の姿をよく見かけます。福知山駅に2キロほどの住宅街ですが、神社の周囲は葱などの畑になつてゐました。

H25.6.1記

一宮神社本殿

創祀は慶雲四年(七〇七)。旧府社。

御祭神は大己貴命。

麻呂子親王の創建と伝へるが、親王は聖徳太子の異母弟であり、創祀の時代が合はない。有馬豊氏が藩主在任の時代(慶長五年~元和六年)に建立との説もある。江戸時代には、城中・城下の鎮守神として崇敬された。寛文七年(一六六七)に松平忠房が指定した近郷五社の一つ(前田の愛宕神社、堀の荒木神社、中の庵我神社、今安の天照玉尊神社)。


一宮神社全景

■探訪記

国道9号線とJR福知山線が交差する辺り、市立桃映中学校のそばの小高い岡に鎮座します。「いちのみや」ではなく「いっきゅう」と読みます。

麻呂子親王に関する伝説は、三上山(大江山)の鬼退治など丹後から中丹にかけて数多く存在し、一宮神社に残る伝承もその一つです。


一宮神社能舞台

現在の本殿は享保三年(一七一八)造営のもので、大原神社など四境内社とともに、府の登録文化財に指定されてゐます。四境内社の一つ、武大神社本殿は、土の建田神社の元本殿で、明治四十一年に移築されたものです。

境内で一際目立つ能舞台は、安政四年(一八五七)に朝暉神社境内に建てられたものが、明治七年に一宮神社に払ひ下げられたものです。

H25.6.3記

朝暉神社本殿

創祀は文政七年(一八二四)。

御祭神は朽木種綱公。

常陸国土浦藩から移封され、福知山藩主となつた朽木種昌が、父種綱を藩祖として城中に祀つたことに始まる。十一代藩主綱條の時に城南の清水門の外の岡ノ段に建立、朝暉神社と号した。廃藩後、最後の藩主朽木為綱が岡ノ段の朝暉神社を撤収し、能舞台などを民間に払ひ下げ、神社は堀村の自宅住居で祀ることとしたが、明治十四年、士族町民らの強い願ひにより本丸跡に再建、市街地の鎮守とされた。


朝暉神社全景

■探訪記

朝暉ヶ丘と呼ばれる福知山城址に復元された天守閣(郷土資料館)の横に鎮座します。昭和六十一年の天守閣復元に伴ひ、少し移動して現在地に遷座しました。天守閣復元前は福知山市民は城跡を「朝暉さん」と呼んでゐました。鳥居の前に蘭学者として知られる八代藩主の朽木昌綱公頌徳碑があります。

山城なので見晴らしがよく、福知山市街が一望できます。福知山の歴史を偲ぶことができる場所です。

H25.6.5記

堤防神社本殿

創祀は昭和五十九年(一九八四)。

御祭神は由良川堤防。

昭和二年に由良川大堤防が完成し、昭和六年に「第一回福知山堤防まつり花火大会」を開催。昭和二十八年に二十八災と呼ばれる大水害があつたため、昭和三十年に八基の神輿を購入して祭事を行なつてきたが、昭和五十九年、神輿を保管してゐた御霊神社境内に社殿を建立。現在は福知山堤防愛護会が神社を護持し、毎年八月十五日に堤防まつりを挙行してゐる。


堤防神社全景

■探訪記

福知山市中心部の御霊神社の境内に鎮座しますが、摂末社ではなく独立した神社と捉へられます。社殿は御霊神社内にありますが、由良川の1キロほどの堤防そのものが御神体といふ珍しい神社です。由良川の治水が町の歴史と言つてもいい堤防の町福知山ならではの神社です。堤防まつりは福知山を代表する祭であり、午前九時から神事が行なはれ、十時から神輿が市内を巡行します。

H25.6.6記

武神社本殿

創祀は康和三年(一一〇一)。

御祭神は素戔鳴命。

若宮神社・稲荷神社。


武神社全景

■探訪記

北近畿タンゴ鉄道宮福線厚中問屋駅と国道9号線に挟まれた小高い丘に鎮座します。

鳥居を潜つて石段を昇ると、丘の中腹に社殿があります。小字を安尾城山と言ひ、戦国期にはこの丘に安尾城がありました。丘の頂には現在はスカイランドホテルがあります。

H25.6.9記

熊野神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は熊野大神。

摂社に荒神社・光富稲荷神社。


熊野神社全景

■探訪記

国道9号線から500メートルほどの下篠尾に鎮座します。隣りに曹洞宗円応寺があります。

前は用水路で小橋がかかり、鳥居の扁額に熊野皇大神宮とあります。

国道9号線・山陰線の西側のこの辺りは、市の中心部からほんの少し外れただけで、長閑な田園風景になります。

裏山は中世の石井城や篠尾向段城の址です。

H25.6.10記

聖神社本殿

創祀は応永元年(一三九四)。

御祭神は聖大神。

和泉の聖神社を勧請した。


聖神社全景

■探訪記

福知山市民病院の東、西川と弘法川に挟まれた住宅街の中に鎮座します。二本の木が目印です。

和泉の聖神社の分霊を勧請したとのことなので、御祭神は聖大神としましたが、地元では女神を祀つてゐると伝へてゐます。妊娠してゐる時の逸話があるといふことでしたので、木花開耶姫命かもしれません。

稲荷や粟島などの摂社が鎮座します。

H25.6.11記

加茂神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は加茂別雷命。

摂末社に祇園社・稲荷社・秋葉社。


加茂神社全景

■探訪記

国道9号線の羽合交差点からすぐ南の山の中腹、保育園の隣りに鎮座します。

丹波氷上の鴨社から勧請されたものでせうか。境内に西暦一八〇〇年前後の手水鉢や石灯籠があり、この頃に創祀されたのか、もしくは手が入れられたやうです。昔は羽合村と言つた地域で、裏山には中世の羽合城址があります。加茂神社も城跡の遺構の一部に建てられてゐるやうです。

H25.6.12記