知井八幡宮本殿

創祀は延久三年(一〇七一)。

御祭神は応神天皇・諏訪明神・知井一ノ宮明神。

延久三年(一〇七一)に南村の上宮山に祀られてゐた八幡太郎明神が、永禄十年(一五六七)に洪水で流され、元亀元年(一五七〇)に北村の久保屋敷の一宮大明神境内に遷移し、諏訪明神と共に三社を合祀して、八幡宮として現在地に再建した。本殿の左に知井一ノ宮明神、中央に応神天皇、右に諏訪明神を祀る。合祀以前の八幡・一宮大明神に奉納された文明十年(一四七八)の鰐口が二つ残る。


知井八幡宮全景

■探訪記

かやぶきの里で知られる美山町北に鎮座します。北八幡宮とも言ひ、知井十二ヶ村(北・南・中・下・河内谷・知見・江和・田歌・芦生・佐々里・白石)の総社です。現在の社殿は明和四年(一七六七)に改築されたもので、京都府指定登録文化財、境内も京都府文化財環境保全地区に指定されてゐます。

知井八幡宮には甲賀三郎の大鹿退治の伝承が残されてゐます。

H18.12.17記

津本社本殿

創祀は不詳。

御祭神は建御名方命。

元は諏訪社と呼ばれてゐた。さらに遡ると、津本氏は氏神として藍婆御前を祀つてゐたと伝へられる。藍婆とは鬼子母神と共に仏法を守護する十羅刹女の一神。藍婆御前から諏訪信仰(建御名方命)へと変遷した由来は不明。


津本社全景

■探訪記

北村の西端の山腹に鎮座します。知井には知井十苗と呼ばれる十の家があり、それぞれ社(祖霊社の場合もある)を祀つてゐて、十苗十社と言ひます。津本社は津本氏(元は津元氏)の社で、祖霊社ではなく建御名方命を祀つてゐます。北村三苗社の一つです。津本社の前に伝承文化の館がありますが、これは骨仏で有名な大阪天王寺の一心寺の社務所を有志が移築したものです。

H18.12.18記、H20.2.11追記

稲荷神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は倉稲魂命。


稲荷神社全景

■探訪記

かやぶきの里の裏山の山麓に鎮座します。北村三苗社の一つで、中野(中)氏の社です。知井村十苗十社の一つでもあります。石鳥居に昭和三十年中野苗講とありました。

境内には樹齢四百年以上のトチの木があり、これは美山の名木にも選ばれてゐます。

H19.1.1記

鎌倉神社本殿

創祀は建長二年(一二五〇)。

御祭神は勝山大神。


鎌倉神社全景

■探訪記

北村の東北の山麓に鎮座します。北村三苗社の一つで、勝山氏の先祖源末友を勝山大神として祀る祖霊社です。知井村十苗十社の一つである勝山氏の祖霊社は昔は南村にあり、勝山神社と言つたさうです。この鎌倉神社はそれが遷移され、社名も変つたものと思はれます。ちなみに、同じく南にあつた知井村十苗十社の一つ林神社(林氏の先祖源末之が祀られてゐる)の所在は不明です。

H19.1.2記

稲森神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は大年之神・伊邪那岐命。


稲森神社全景

■探訪記

かやぶきの里から自然文化村の方へ1キロほど行つたところ、府道38号線の一本北側にある旧道沿ひに鎮座します。

境内は庭のやうな雰囲気で造られてゐて、神池があり、鳥居の前には綺麗な小川が流れてゐます。

H19.1.5記

稲荷神社本殿

創祀は享和元年(一八〇一)。

御祭神は倉稲魂命。

長野氏(知井村十苗の一つで河内谷と中村に居住してゐた)を除く中村の住人(大隅氏が中心)が祀つたと伝へられる。


稲荷神社全景

■探訪記

稲森神社からすぐ、府道38号線の道路脇の法面に造られた階段を昇つた斜面に鎮座します。下中のバス停の近くです。鳥居には昭和四十三年とありました。

H19.1.6記、H20.2.11追記

河合神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は大波女命。

明治の神仏分離から昭和戦前までは河合神社と呼ばれてをり、京都府神社庁では今も河合神社となつてゐるが、古くより蔵王権現として崇敬されてゐて、現在は元通り蔵王権現と呼ばれてゐる。蔵王権現は日本独自の仏で、吉野の金峯山寺の本尊。安閑天皇と同体とされる。知井八幡宮・佐々里八幡宮とともに知井九ヶ村の神社であつたが、明治九年に境内地を中村に永代譲渡し、中村の崇敬社になつた。


河合神社全景

■探訪記

知見口バス停そばに鎮座します。昭和四十九年の鳥居には蔵王大権現の扁額が掛かつてゐます。知井八幡宮の例祭の御旅所です。

神社脇には知見谷川が流れ、間之橋が架かり、正面には美山川が流れ、蔵王橋が掛かつてゐます。御祭神の大波女命は、罔象女神と同様の水の神様でせうか。蔵王橋を渡ると自然文化村です。

H19.1.7記、H20.2.11追記

下八幡宮本殿

創祀は不詳。

御祭神は応神天皇。


下八幡宮全景

■探訪記

京都府道369号八原田上弓削線を知見谷川に沿つて知見の方に2キロほど上つて行つた右側、下村の字宮ノ上に鎮座します。下村は知井十二ヶ村の一つで、この下八幡宮は崇敬社で、北の知井八幡宮の氏子です。境内には従軍記念碑がありました。

すぐそばに下集落センターと美山町山村留学センター「四季の里」があります。

H19.1.16記

盆徳神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は応神天皇。


盆徳神社全景

■探訪記

国道162号線沿ひ、民家の立ち並ぶ地域の裏手に鎮座します。上平屋は平屋十ヶ村の一つです。

駐車場らしき広場から山に入り、杉林と竹林の谷をしばらく行くと朱の鳥居と舞殿が見えます。境内は新しく整備されてをり、垣に平成十三年とありました。灯籠が三対あり、奥は妙見宮の灯籠でした。

上平屋は宮脇の道祖神社の氏子で、盆徳神社は地域の崇敬社です。

H19.2.27記

深見八幡宮本殿

創祀は不詳。

御祭神は応神天皇。

文化十年(一八一三)以前には現在地に遷座してゐた。九月十五日に放生会を行なふ。


深見八幡宮全景

■探訪記

美山ふれあい広場(道の駅)のある安掛から、赤い鉄橋を渡り、周山街道(国道162号線)を3キロほど行き、中深見バス停・深見公民館を越えて左に少し入つた山麓に鎮座します。

深見は平屋十ヶ村の一つで、宮脇の道祖神社の氏子ですが、地域として八幡宮を祀つてゐます。

周山街道の深見トンネルを越えると、京都市(旧京北町)です。

H19.3.4記