熊野神社本殿

創祀は文明三年(一四七一)。

御祭神は伊邪那美命。

熊野三山(家都美御子大神・熊野速玉大神・熊野夫須美大神)信仰の下、丹波守護職細川政元が勧請したと推測されてゐる。安永八年(一七七九)に神楽殿が建立されたと記録にあるが、昭和二十三年、台風で倒壊した。文政十二年(一八二九)、四十四名の寄進により本殿が改修された。


熊野神社全景

■探訪記

京丹波町役場から丹波自然公園の真ん中を通る道をそのまま院内の集落に入つて行くと、右側に鎮座します。仕出屋さんの隣りです。鳥居のすぐ右の、道路に面した場所に鎮座するのが熊野神社です。

院内はかつては曾根村に属したと思はれ、曾根院内と呼ばれてゐました。幕末頃から単に院内と呼ばれるやうになり、明治初期に新町村と合併し、院内村になりました。院内の西南にある池の辺りからは奈良後期の須恵器窯跡が出土してゐます。


毘沙門堂

鳥居をくぐつて真つ直ぐ行くと、神社の境内はかなり広い公園になつてゐます。公園の一番奥の場所に毘沙門堂があります。これは大正十一年に熊野神社の敷地に移されたもので、創建は平安時代に遡る歴史を持つてゐますが、今の建物はそれほど古いものではないやうです。

毘沙門堂の左側には、南北朝時代の宝筐印塔があります(右写真では木の裏側に隠れてゐます)。これも毘沙門堂と一緒に移されたものと思はれます。

H18.11.2記

愛宕神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は斉火産霊命。

江戸末期、新田に大火事があり、鎮火の神として建立した。


愛宕神社全景

■探訪記

府道444号桧山須知線沿ひ、豊田の通称愛宕山と呼ばれる小高い丘に鎮座します。上豊田の人々が奉祀してゐます。

昭和四十七年に忠魂碑が建てられ、境内も整備されました。愛宕山には上豊田の保育所やグラウンドがあり、神社のすぐ裏手は生涯学習センターです。

七月二十四日の例祭には、燈籠を作る行事があります。境内には岩を祀つた摂社があります。

H18.11.5記

九手神社本殿

創祀は長元二年(一〇二九)。

御祭神は大山咋命。旧村社。

豊田地頭の藤原定氏が松尾大社より勧請した。

天正十年(一五八二)、松尾大社の神輿を受納。安政四年(一八五七)には、御室御所より九手大明神の鳥居額と菊御紋章付釣堤燈一対を賜る。

豊田・上豊田の氏神で、御祭神の大山咋命は、日照り、疫病の神として信仰を集めてゐる。


九手神社全景

■探訪記

国道9号線沿ひに鎮座します。

三間社流造り、檜皮葺きの本殿は、明応七年(一四九八)に再建されたもので、重要文化財です。

鳥居は平成一八年六月に古い木造の鳥居から氏子や地元企業の寄付金で新しく建てられたものです。鳥居の右には大杉、左には幹周4メートル、樹高15メートルのアラカシがあり、アラカシは京都の自然200選にも選ばれてゐます。

H18.11.11記

子守神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は天水分神・国水分神。

天文十二年(一五七五)、正一位宣旨を受ける。天保四年(一八三三)に改修。旧村社。


子守神社全景

■探訪記

府道446号豊田富田線に面して一の鳥居(昭和五十八年)があり、坂を下つたところに鎮座します。富田は明治七年に高屋村と坪井村が合併してできましたが、子守神社は高屋村の氏神様です。

本殿は大変立派なものですが、近年屋根が焼けたさうで、そこだけ新しくなつてゐます。杜に囲まれた境内はとても綺麗です。

狩野元信の神馬図絵馬が奉納されてゐます。

H18.11.26記

八幡神社本殿

創祀は天正三年(一五七五)。

御祭神は誉田別尊・気長足姫尊・比咩神。

紅村山内荘の太田出雲守秀政が河内国坪井八幡宮より勧請した。旧村社。昭和十五年に改修。


八幡神社全景

■探訪記

府道446号豊田富田線を山の方に少し入つたところに鎮座します。旧坪井村の氏神様です。河内国坪井村から八幡神社を勧請したので、坪井村と言ふのかもしれません。

鳥居前に観音堂、境内には大きな社務所と神饌所があります。本殿の前には大杉が三本聳えてゐます。

H18.12.2記

諏訪神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は建御名方命。


諏訪神社全景

■探訪記

府道446号豊田富田線沿いに鎮座します。子守神社から見える位置です。

近くで伺つたところ、諏訪さんといふことで、富田の第四組がお祀りされてゐるとのことでした。「巳さん」とも呼んでゐるさうです。

H18.12.4記

稲荷神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は倉稲魂命。


稲荷神社全景

■探訪記

府道446号豊田富田線沿ひにある曹洞宗宇津木寺の裏山の中腹に鎮座します。

お墓の近くに覆屋があり、朱塗りの祠が鎮座してゐるのですが、綺麗に掃除されてゐて、しつかりとお祀りされてゐる様子が伺へました。

宇津木寺は町指定文化財の絹本著色当麻曼荼羅図を所蔵してゐます。

H18.12.5記

稲荷神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は倉稲魂命。


稲荷神社全景

■探訪記

府道446号豊田富田線沿いの宇津木寺の向かひ、第一組集会所(高屋コミュニティセンター)の横に鎮座します。

二連の鳥居がある階段を上ると、真新しい朱塗りの社殿があります。周囲には柿の木や梅の木が植ゑられてゐて、明るい雰囲気の境内でした。

H18.12.9記

大山咋神社本殿

創祀は不詳だが、弘安年間(一二七八)以前に社殿の再建が行なはれてゐる。

御祭神は大山咋命・品陀和気命。

現在の本殿は、二百年ほど前に傍らにあつた神宮寺からの出火類焼後に建て替へられたものといふ。昭和十五年に鳥居改修。旧村社。

領主嶋氏累代の祈願所で、毎年玄米一石を寄進してゐた。


大山咋神社全景

■探訪記

実勢川のほとりに鎮座する実勢の氏神様です。本殿右に大山咋命、左に品陀和気命が祀られてゐます。古来より文政二年(一八一九)までは陰暦八月十五日の八幡祭に馬駆け、文政三年(一八二〇)からは湯立神楽を行なつてゐましたが、現在は廃止されてゐます。今は九月十五日に境内の弓場で弓引式を催すさうです。安政五年(一八五八)に御室御所より菊御紋章付釣堤燈一対を下賜されてゐます。

H18.12.10記

稲荷神社本殿

創祀は不詳。

御祭神は倉稲魂命。


稲荷神社全景

■探訪記

丹後方面に向かつて国道9号線を右折し、蒲生から実勢に向かふ道の田んぼの中に鎮座します。

鳥居と覆屋が朱塗りされてゐるので、稲荷神社と思はれます。

H18.12.11記