廣野文男作品集~思い出の中から・悠久の郷~
絵・文 廣野 文男
防火訓練
戦火は日増しに激しくなっていた。大阪大空襲で澄んだ田舎の空を赤黒く焦げ、燃え残りの紙片がパラパラと降った。片野地区の裏山に数発の焼夷弾が落ちたので、集落毎に防災訓練が実施された。仏壇の位牌と僅かな貴重品を風呂敷に包んで避難訓練もあった。
本土決戦に備えて竹槍訓練が挙行されたが、広島と長崎に新型爆弾が落されて間もなく戦争は終わった。のどかな山村でさえ異常事態に突入した異常な時代だった。
更新日 平成20年8月9日
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