廣野文男作品集~思い出の中から・悠久の郷~
絵・廣野 文男
文・上野 道雄
町から来たオジサン
いつも見慣れた顔ばかりの在所へ、たまに来る修繕屋のオジサン達は人気の的だった。鋳掛屋・傘屋・靴屋・桶屋……。鍋の底に空いた穴を鑢(やすり)で削って鉛を載せ、鞴(ふいご)で熱くした鏝(こて)で溶かす。まるで魔法使いのようなオジサンの手元を、飽きることなくいつまでも見とれていた。茶碗屋・古着屋・古本屋らのオジサン達も時々顔を見せた。売れても売れなくても、子供らとオジサンは友達になったのだった。
更新日 平成20年9月1日
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