廣野文男作品集~思い出の中から・悠久の郷~
絵・廣野 文男
文・上野 道雄
柴運び
稲刈りが終わり稻扱きも終わって、村は霜の降りる頃になった。冬に備えて農家では芝作りが始まる。山で雑木を伐り麓まで背負って下ろす。大人達の仕事だが、上級生になれば柴運びを手伝った。麓に降ろした柴は荷車で家へ運ぶ。下級生でも大人の手伝いが出来るのが嬉しかった。後ろから力一杯を押せば、冷たくなり始めた風も平気だ。もう幾つ寝たら正月が来るのだろう。荷車を押しながら胸が膨らむのだった。
更新日 平成20年11月19日
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