仲間たちの歓声が上がった。鞄持ちを言い出した私が、ジャンケンで負けたからである。背中や肩だけでなく、手にも提げてよろけながら歩く。手ぶらの仲間らは、道端のイタドリをちぎったりモンシロチョウを追い駆けたり、鼻歌まじりで先へ行く。数名分もの鞄は重かった。肩は重かったけれど、心の中は暖かだった。その暖かさは、半世紀が経っても冷めることはない。分校は廃校になり、今は本校へバスで通学するようになった。仲間たちと鞄を持って歩くことは、もうなくなってしまった。
更新日 平成20年3月14日
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