廣野文男作品集~思い出の中から・悠久の郷~
絵・廣野 文男
文・上野 道雄
寒い朝
道端の水溜りに堅い氷が張っていた。背中を丸め霜柱を踏みながら登校する。そんな朝、近所のお爺さんが焚火をして待っていてくれる。燃料の豆殻が気持ちの好い音を立てた。集まって来た子供達の顔が、やがて火照って赤くなる。
「さぁみんな、ぬくうなったら早よう学校へ行きや」「急がんと遅刻するで!」
「は~い!」私達は学校へ向かって走り出す。焚火でからだは暖かくなった。お爺さんの優しい気持ちで心も温かい。
更新日 平成21年1月23日
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