田島征彦は、昭和49年(1974)から平成12年(2000)まで26年間にわたって八木町に暮らしていた画家・絵本作家です(現在は淡路島在住)。
本書は34歳の時に八木町に移住した著者が、八木駅前の市街地に住んでいた頃から吉富駅そばの室河原に家を購入して本格的に農業を始め、絵本作家・エッセイストとして活躍し始めた時期の出来事を書いた著者初のエッセイ集です。京都こどものとも社の宅間英夫社長など八木町の人々や木喰仏で知られる諸畑の清源寺などが登場しますが、牧歌的な農村の日々の出来事がユーモアあふれる筆致と自身の挿絵で綴られていて、大変楽しく読めます。
更新日 平成19年10月26日
前著に引き続き、八木町室河原での日々の生活や仕事のことなどを綴ったエッセイ集。月刊誌『母の友』に昭和57年から三年間連載されたものです。
子供の成長につれて、教育現場に関わりを持つ機会が増えてきた著者。やがて吉富小学校の育友会長(PTA会長)にもなるのですが、そうした中で学校教育の問題や人権の問題に直面するようになります。当時は校内暴力で学校が荒れ始めた時代でもありましたが、進歩的な人権教育と保守的な管理教育が合体して、学校はだんだん窮屈な場所になりつつありました。著者は地元の部落解放実践交流会・部落解放研究会に参加したり、障害者と関わったりと、差別問題にも自然な形で取り組むようになりますが、学校の障害者問題や同和問題への対応は、人間同士がそれぞれの個性のままに対等に付き合える環境を作るのではなく、平等を規則として強制するもので、著者には違和感ばかりがつのります。タイトルの「王さまが裸で歩いとるわ」は、表面的な規則や管理だけを押し付ける教育現場の公式主義に対して投げかけた言葉です。
この続編では、当時吉富小学校の隣りの校区の新庄小学校校長だった園部町教伝寺の小泉麟雄住職が活躍しています。
更新日 平成19年10月28日
八木町に移住して約20年、『本の窓』に平成2年から四年間連載されたものをまとめたエッセイ集です。長い丹波暮らしを振り返った文章、元号反対の活動、パリへの短期留学の話などが書かれています。
当時、教科書問題が大きな議論を呼んでいました。そうした時代背景から、本書でも政治的な話題がしばしば取り上げられています。
更新日 平成19年10月29日
著者は日吉町出身、園部高校から嵯峨美術短大・同洋画専攻科を卒業して1980年代初頭に公立中学校の美術の先生になりますが、平成5年(1993)に退職、その後ひげおやじのハンドルネームで教育や社会などについての発言を続けているコラムニスト・農民です。
本書は美術教師になった著者が、約10年の悪戦苦闘の末に教育現場に疲れ果て、教育体制に絶望して退職するまでの軌跡を内省的な文章で綴った長編エッセイです。古い共同体秩序が壊れて競争原理が支配的になり、利己主義と保身が蔓延しはじめた時代の日本社会、その縮図としての学校に放り込まれた不器用で真面目な教師の敗北が、赤裸々に語られています。
更新日 平成19年10月30日
ひげおやじのハンドルネームで活動する日吉町在住のコラムニスト・農民塩貝文明の2冊目のエッセイ集。平成11〜16年(1999〜2004)のコラムが集められています。
狷介で攻撃的なスタイルの文章を駆使して、政治・経済・社会・教育など多岐のテーマにわたって論評されています。政治・経済・社会の議論では、護憲の立場から現代の状況が批判されています。教育現場に絶望して退職した元美術教師だけあって、教育問題に対する切り込みは非常に鋭いです。
装丁の繊細で透明感のある絵は著者自身によるものです。
更新日 平成19年10月31日
八木町に住んでいたミステリ作家、不知火京介の第49回江戸川乱歩賞受賞作。
プロレス界を舞台にしたミステリで、マッチメイクとはショーであるプロレスの試合のシナリオのことである。主人公は京都府大堰郡月岡町という船井郡某町をモデルにしたと思われる町の出身で、丹波商業高校を卒業してプロレスラーになった人物という設定。新人プロレスラーである主人公が殺人事件に巻き込まれるというストーリーである。
描写が巧みで、特に肉体の描写に特徴がある作家である。主要な舞台は大阪だが、主人公の里帰りなどで口丹波がしばしば登場し、地元的にはそこも面白く読める。
更新日 平成19年11月2日
江戸川乱歩賞作家の受賞後第一作で、京都の歌舞伎界を舞台にしたミステリ小説。新人の歌舞伎俳優の主人公が、歌舞伎界で起こった殺人事件に巻き込まれる。一見前作のプロレスとは全然違う歌舞伎の世界を描いているのだが、肉体を使ったパフォーマンスという点では共通しており、肉体の描写に関心を持っている作家の特徴がこの作品にも伺える。
主人公は口丹波出身かどうかはわからないが、口丹波出身者と推測できる人物が何人か登場し、口丹波ネタもさりげなく挿入され、また口丹波を京都のすぐそばにあるという地理感覚で描いているのもこの地域を熟知している作家ならではである。
更新日 平成19年11月3日
著者は大正6年に亀岡で生まれ、立命館大学卒業後、高校・大学で教鞭を取りながら、亀岡市史編纂委員・文化財保護委員なども務めた郷土史家。
日本古城友の会の「城と陣屋」シリーズとして正続2冊発行されたものを一冊に合本したもの。「中世薗部城」「中世薗部城を取囲む山城群」「近世園部城」「明治維新と園部城」の4部から成り、元版では前後2部分ずつが1冊だった。
最も興味深いのは「中世薗部城を取囲む山城群」である。園部町には藁無高山城・蜷川城・小山城・黒田城・大村城・船阪城・宍人城・埴生城など各地に中世の土豪が築いた古城跡があるが、それらの実地調査と文献学的考証によって戦国期の園部の姿を明らかにしている。
更新日 平成19年11月6日
口丹波を主なフィールドに調査研究活動を行なった郷土史家が、地理学・歴史学・民俗学など幅広い観点から丹波路を研究した本です。
内容は、古丹波路の復元、丹波における桑と渡来文化、丹波の果樹・松・竹、亀岡城・園部城と植物などで、取り上げられている範囲は口丹波(亀岡・八木・園部)を中心に、中丹波・西丹波に及んでいます。副題が示すように、著者は人間と植物との関わりから考察する歴史地理学的なアプローチを得意とし、古木の年輪から歴史を見る年輪年代学の方法なども極めて興味深いものです。
丹波学の基礎文献の一つになっている古典的著作ですが、魅力的な歴史読物でもあります。
更新日 平成19年11月9日
著者は大正14年に大阪に生まれ、龍谷大学を卒業、昭和24年に園部高校の教諭となり、園部町の本福寺の住職も務めながら、郷土史や部落史の研究を行なってきた人です。
本書は口丹波の伝説・人物・交通・歴史・農民の暮らし・文化財などについて、豊富な史料を駆使して網羅的に描いた口丹波地域誌です。古典文学と近代文学に取り上げられた口丹波も紹介しています。
更新日 平成19年11月10日
南丹ゆかりの人物を紹介
南丹市に関する本を紹介
随筆家上野道雄の連載エッセー
京の名工廣野文男のふるさと画集
歌人石川路子の南丹吟行
墨絵で綴る南丹の風景
南丹の名木を訪ねて
児童文学者広瀬寿子の作品を紹介
南丹の観音霊場を歩く
Copyright(c) H19〜 TANBA RAKUICHI. All rights reserved.