寶福寺の榎
園部町上本町の寶福寺にある榎(エノキ)。寶福寺の左側にある路地の奥の墓地の脇にある。推定樹齢400年で、旧園部町指定樹木になっていた。
寶福寺は園部城下が整備された頃、元和6年(1620)に空浄の開基によって創建された浄土真宗東本願寺派の寺院である。空浄は聖徳太子像を携えて摂津より園部にやって来たというが、同時に製薬の技術も伝え、太子膏薬というものが園部の名物であった。寶福寺は園部川の河原での相撲などの興行にも関わっていたらしく、寶福寺河原と呼ばれる縄張りを持っていた。
地元民しか通らない路地の奥に傾きがちに立つ榎は、老木という雰囲気を漂わせている。戦前は榎のある辺りに小川が流れ、同様の巨木が数本あったというが、今はそうした風景は残っていない。もう一本、境内の庭に楠(クス)がある。こちらも樹齢200年か300年はある木で、優美な姿をしている。
寶福寺は本町商店街の犬石書店の横から寶福寺橋へと抜ける通りにある。国道9号線から本町商店街までの景観はここ数年の再開発で全く様変わりしてしまったが、本町商店街から一本入った寶福寺の辺りにはかつての城下町ならではの面影を僅かに偲ぶことができる。
更新日 平成20年4月14日